【撚糸について】
1. 撚糸(ねんし)とは何か?
撚糸とは、糸に撚り(より)をかけること、または撚りをかけた糸のこと。「撚る」とは、ねじりあわせること。糸に撚りをかけることは、糸にとっても、糸を使って作られる繊維製品にとっても重要な役割を持っている。
2. 糸を撚る理由
@丈夫な1本の糸にするため。
蚕からとれる生糸、繭からほぐし出た糸はとても細く、そのままでは糸としては使えない。何本かの糸を束にする必要があるが、ばらばらになって扱いにくくなる。そこで、生糸の束に軽く撚りをかけ、丈夫な1本の糸として使えるようにする。
A糸で作られる生地の風合いや肌触り、丈夫さなどの違う効果をだすため。
撚りをかける回数を変えたり、太さの異なる2本の糸を撚りあわせたり、一度撚りをかけた糸を何本かそろえて逆方向に回転させて1本の糸にしたり、工夫を重ねることで様々な効果をだすことができる。
3. 撚りの種類
(1)撚りの方向による分類
撚りの方向は、織物の表面の光沢や摩擦係数などに影響を与える。右燃(S燃),左燃(Z燃)に分類される。
(2)撚り数による分類
撚り数の単位は、T/m。糸1メートルあたり何回転したかで表す。
甘撚(500T/m),中撚(500〜1000T/m),
強撚(1000〜2500T/m),極強撚(2500T/m以上)
(3)撚り姿による分類
基本的には、4種類ある。
a)片撚り:
糸を何本か引き揃え、一度だけ撚りをかけた撚糸。光沢が強いが摩擦に弱い。
b)双撚り(諸撚り):
先に何本か引き揃え、左に撚り、その撚れた糸をまた引き揃え、その合糸された糸をまた右に撚りをかけた撚糸。片撚りと駒撚りの中間で、最もよく使われている。
c)駒撚り:
双撚りと撚り方は同じでも、撚度(撚りの回数)がきつい撚糸。摩擦には強いが光沢が少ない。
d)タスキ撚り:芯にある糸を包むように右撚りと左撚りをかけてある撚糸
4. 八丁撚糸機
桐生お召しの「お召し」とは、「お召し縮緬」の略語。お召しの特徴である縮緬のシボを出すためには、糸に強い撚りをかけなければならない。そのため、八丁撚糸機といわれる機械が用いられる。
5. 感想
撚り方によって、糸にも様々な効果が出てくることを知った。各地で特徴のある織物ができるのも、撚糸自体に様々な特徴を持っているからだろう。
お召しを作るためには、八丁撚糸が必要である。今では全国に広まった八丁撚糸が、桐生から広まったことを多くの人に知ってもらいたいと思う。
森 美有紀(群馬大学・社会情報学・学生)