「気絶するほど貴重」「全国でも桐生にしか残っていない」ー。天満宮の御開帳に合わせて演じられていた「からくり人形」について、その専門家が二十一日に来桐、現存する同人形を調査した。その“臨時報告会”とも言える「からくり人形を語る夕べ」が同日夜、桐生倶楽部で開かれ、二人の専門家は異口同音に「残っ ていないと思われていたものが残っていた」「貴重な財産。自覚を持って活用を考えて」と話していた。 「ー語る夕べ」は、からくり人形研究会(代表は山鹿英助さん)が開いたもの。関心のある市民に呼びかけたところ、約八十人が出席した。 ********************************** 第一部は一九六一年(昭和三十六年)の天満宮御開帳の様子を収めた八ミリフィルムの上映。アマチュアカメラマンが撮影したカラー記録映画で約十五分。顔に化粧をした和装の稚児行列や当時の市内の光景、本町の各町内が御開帳に合わせて個性を競い合った「出し物」、からくり人形が演じられている様子などが収録されている。録音がないため、集まった市民らは画面を食い入るように見つめていた。 第二部として、からくり人形を調査した二人の専門家が講演した。日本やアジアの芸能を研究している日本人形劇センター前理事長の宇野小四郎さんと、江戸時代から明治期にかけての機械技術について研究している国立科学博物館理工学研究部研究官の鈴木一義さん。会場には、現存するからくり人形のうち四体(本町一丁目、同三丁目、同四丁目のもの)が展示され、それらを前に語った。 宇野さんは「昭和初期の作というと『新しい』と思うかもしれないが、江戸(の技術)を継承している。生きている化石。非常に貴重なものであり、わたしにとっては気絶しちゃうほど」とその希少価値について言及。鈴木さんは「からくり芝居に使われた人形で現存するのはこれだけ。それだけすばらしいもの。町内がそれぞれ違うからくり芝居をしていたこともすばらしい。江戸時代の技術と文化を伝えるものであり、自覚を持って活用を考えてほしい」などと話していた。 なお、同研究会では同からくり人形の復活・上演も計画しており、ファッショ ンタウン事業の一つとして組み入れて一般に公開したい、としている。 |