桐生タイムス1998年(平成10年)7月25日(土曜日)掲載
  天満宮の御開帳で市内各所に飾られ、水車や電気仕掛けで動いていた「からくり人形」の復元を目指し、この程同好の志が集まり「からくり人形研究会」を組織し、桐生倶楽部での第二回研究会では、本町四丁目の「曽我兄弟夜討」のレプリカを作製し、からくりの仕掛けを解明して動きの再現を目指すことにした。
 会員は現在十八名と少ないが、自己紹介を伺うと、会員は本職はだしで、その昔、寛文二年(一六六二年)竹田出雲がもとは時計師で、その技術が巧妙な仕掛けを作ったと言われているが、グループの中にもかつては時計技師で今回のレプリカ作りのチーフを務める者、元大学教授で糸から原子力まで研究し「イギリスやドイツではからくりがコンピューターの原点。博物館などではいつでも動かせる状態で展示し、子供たちから興味を持てるようになっている」という。自らはスチールカメラマンといって、からくりの写真を撮りまくっている。テキスタイルプランナーとしてステンレスファイバーを開発し、フランスのリヨンで盛んに新しいものをとりいれたギニョールなどを、桐生でも現代人形劇でやりたいと意欲十分な面々。
 昭和二十七年、本町五丁目で上演した「源氏物語(藤壷)」のからくりの図面を引いた人は、当時撚糸屋で木村健司氏のもとで当日は舞台下でからくりを操作していたという。生来のカメラ好きが高じて小型映画に陶酔して今回昭和三十六年、天満宮御開帳の貴重な8ミリフィルムをVTR化してくれた染物プリント業の方。百五十万円の補助金を申請し基金確保に努め、自らも猫の手というボランティア団体をリードする建築設計士。郷土玩具・風習研究家で各地の人形劇に造詣があり、展示などの時には奉仕してくれる人。意匠の図案業で引き札などの資料収集家。木材を提供する土木業の人などそれぞれが得意な分野を生かし協力するグループができた。
 何事も、研究となると一応苦しみを伴うものだが「皆で楽しくよろう」を合言葉に、毎月第二月曜日を目途に集まっているので、研究会に関心のある方の参加を希望します。
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